2015/09/24

『Rewrite』論:何故「鍵の少女」は殺されなければならなかったのか――樹木信仰と奇跡学―― 

 こちらは以前、then-dさん主宰のサークル『theoria』さん刊行の、『恋愛ゲーム総合論集2』に寄稿させていただいたRewrite論の再録版です。
 
 『Rewrite』だけに本文をリライトとして再構成したい・・・と思いましたが、やはりこれも今までの足跡ということで、変更点は誤字の訂正と段組の調整のみで『恋愛ゲーム総合論集2』と同内容となっております。今客観的に眺めてみると、論の運びが所々飛躍しまくっていて何とかひとまとまりに収まっているのがやっとという印象ですが、興味がありましたら覗いていってもらえれば幸いです。
『Rewrite』のネタばれは勿論のこと、『Kanon』をはじめとしたKey作品のネタばれ含みます。
 
 ちなみに『Rewriteレビュー』と、このRewrite論の原型である『Rewriteと宇宙木に関する小考』はそれぞれリンク先にて。

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2013/05/16

りとる†びっち ~Little Bitch Girls in Hog Farm~ レビュー

 -おにいちゃん、Hシよっ♥

 

 2011年12月にエレクトリップから発売された『りとる†びっち 』をクリア。以下に雑感を記す。

 エスでロリの女の子ふたりに、甘く責められてしまう本作。シーン数は23。ストーリーはなく、完全に実用性重視の作りである。チャプター毎にシーンを選択できる仕様で、文章をいちいちスキップして読み進める必要がないのは、時間のない人にとっては嬉しいところ。

 内容は、手コキから始まって、童貞喪失、射精禁止、アナル責め、青姦、赤ちゃんプレイ、顔面騎乗、機械責め、NTRなどでバリエーションは申し分なかった。一回一回の行為の内容も濃く、個人的には非常に使えた。ただし、所々過剰な効果音や画面効果があり、そこで萎えてしまうのが難点であった。実用性を重視するなら、変な笑いを取りに行かず堅実にやって欲しかったと思う。

 ロリロリでエスなふたりはとてもエロ可愛い。ただ、ビッチかと言われれば若干首を傾げてしまう所がある。確かに性的には放縦だが、元々は処女であるし、情けない主人公をどこまでも許してくれるその心は天使とさえ言えるだろう。もっと気性が激しく、こちらにも厳しいビッチ像をイメージしていると肩透かしを食らうだろうが、今作は甘えろマゾがコンセプトであるようなので厳しく追及すべきことではないだろう。自分は激しく責める女の子を支配者として様付けで呼びたいというダメな欲求を持っているが、今作では様付けで呼ぶには違和感があった。それだけ甘々なのだ、ということで納得した。

 さて、今作で独特なのは女の子からの語りかけ文体なのだが、個人的にはコレは外れであった。というのも、視点が完全主観で、客観的な隷属状態や人物の心理面が描かれていないからだ。支配する側とされる側の関係性の変化や快楽に抗えず次第に屈服していく心理描写を楽しみたいと思っていたのでしょんぼりであった。しかし、この語りかけは最初からそれらを犠牲にした上で成り立つ仕様で、それを体験版で確認してこなかったお前が悪いと言われれば正論過ぎて全裸になって仰向けに横たわる他はない…。

 一方、この語りかけ文体が、マゾゲーをプレイし始めて間もない自分に対して不思議な印象を与えたのも事実ではある。普通、SとMの関係というと、責める側と責められる側、両者の快楽のせめぎ合いで成り立つものであると思うのだが、この『りとる†びっち 』では責める側から一方通行に快楽が流れていっているように感じられたのだ。ふたりはこちらの欲求を叶えてくれるだけで、責める側の悦びや支配する側の気高さを見せない。その姿はこちらの欲望や快楽を反射する鏡のようだ。このゲームの中に他者はおらず、ただ自分自身の快楽のみがある。「早漏ですぐにイッてしまったり、恥ずかしい言葉を言わされたり、赤ちゃん言葉であやされたり…とにかく底の底まで墜ちてゆきたい、惨めな姿を晒してしまいたい!」そんな欲望があるのならば、それがダイレクトに自分に返ってくる。自分で自分の欲望を浴びるようで、なんと息苦しいことか。結局、プレイする人間の嗜好がそのまま反映される作品であると言えるのではないだろうか。ラストシーン、メタ的な展開の中で、プレイヤーは己の在り様を自覚させられる。そこで画面から距離を取るのか、完全に豚になって画面の向こう側へ行くのか、その選択はプレイヤー自身に委ねられている。ぶ…ぶ…ぶh… 危なかった

 くせがあり、やや評価は落ちるものの、中々面白かった。ぶひいいいと鳴きそうになる一本であった。

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2013/04/20

少女連鎖2 レビュー

 -少女に支配された青年の倒錯。少女に堕とされる少年の快楽。

 

 2007年2月にZEROから発売された『少女連鎖2』をクリア。以下に雑感を記す。

 『少女連鎖2』は、前作同様ロープライスお手軽マゾゲーとして発売された作品である。そのコストパフォーマンスは非常に高く、そこのところは前作同様安心できる。先日クリアした『恋踏』もそうだが、短いながら1シーン1シーンが濃く隷属状態へと自然に墜ちてゆける。クリアまで5~6時間、どっぷり恍惚に浸りながらもダレない計算された設計である。

 良作なのだが、ただ前作と比べてしまうとどうしても評価を落としてしまう所もある。大きく分けて二点ある。ひとつは新しく館に招かれた晴樹の扱いである。作中、どんどん晴樹はまゆら様に教育されていくが、その教育シーンが由梨江、恵美、彰宏の三人のシーンと途中で分離してしまっていて、その為に新人と熟練者の絡みといういかにも美味しそうなシチュエーションがなくなってしまっている。なんと勿体ないことか。前作ではまゆら様との一対一の関係だけではなく、由梨江、恵美との肉のまぐわいがしっかり描かれていて、まゆら様を頂点としたまさに性三角形というべきものが顕現していたのに… とても残念である。

 もう一点。こちらは個人的にはより深刻なものである。それはまゆら様の絶対者としての位置だ。今作では、まゆら様が人外・あるいは何か超常の存在であることを匂わせる描写がたくさんある。それがどうした、なんの問題が?と言われればそれまでだが個人的には大問題だった。前作でまゆら様が何者か、と問うシーンがあったがその正体はついぞ明かされないままだった。女王としての天賦の才を持った○学生なのか、富豪の娘なのか、吸血鬼なのか、あるいは女神の化身なのか… 全く秘密のベールに包まれていた。けれども、今作では、その超常的な力から少なくとも人間ではないことが明らかになってしまった。何者か分からないからこそ絶対性や神秘性が高められるのに、超常的な力を持った人外だと分かってしまったら正体を見たような気分になり興ざめしてしまう。ある意味、人外ということが分かって権威が増したのかもしれないが、それはそれだけキャラクター性が固定されたということでもある。やはりまゆら様の秘密のベールが僅かではあるがめくられてしまったことが残念であった。

 また、まゆら様は今回認識の改変や集団催眠、千里眼、超媚薬の唾液をケツから噴出させるなど様々な超常現象、奇跡を起こしてみせる。これもあまりいらなかった。こういったイリュージョンは笑えるので嫌いではないけれど、でもやっぱり自分にとっては何者にもよらない絶対的な帰依こそ恍惚の源泉であり、そのような過剰なイリュージョンは蛇足であった。そして、背景とか状況設定に左右されないピュアな関係がいいよね、とか思った。相手が何者であるかは分からない、だけどそれでも愛を注ぐ、代わりに自分がどんな者であっても、無条件に愛が注がれる。そんな盲目的な循環の中にこそ至高のものは宿る。ただ、愛と欲望のままに。

 ただ、人外であろうとも、奇跡を執り行おうとも、まゆら様が至高なのには変わりがない。むしろ、これは崇拝に揺らぎがないかどうかを試すための試練なのではなかろうか。そう、まゆら様はまゆら様であって依然して絶対者として君臨しておられ…フガッフガ(顔面騎乗されながら)

 

 なんだか長々語ってしまったが、それだけ『少女連鎖2』は印象深い作品だったということだ。未プレイの人は出来れば前作から通しでやってみて欲しい。まゆら様は永遠の君主、そんな一本であった。

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2013/04/15

恋踏~コイブミ~ レビュー

 -そこで勃ってなさい。

 

 2012年8月にエムサイズより発売された『恋踏~コイブミ~』をクリア。以下に雑感を記す。

 こちらのサークルはMシチュゲームを専門に出されているだけあって、非常に完成度の高いマゾゲーだという印象。攻略ヒロイン(むしろこちらが攻略されるほうであるが)は二人。挿入行為は一度もなく、ヒロインの肌の露出も極めて少ないという徹底された作り込みは正にマゾゲーといったところ。クリアまでの時間は5~6時間程度で気軽にプレイできる。お値段以上の質が凝縮された一本。

 ヒロインは従姉の早智子()と後輩の野枝()の両名。双方のキャラクター性が綺麗にシンメトリーになっているのが、とても良い。前者は天性の絶対君主の女神、後者は弱者という立場から一転支配する悦びに目覚めていく復讐の女神。この二人のキャラ紹介を見た途端買いだと思ってポチッてしまった。個人的には、後者のキャラクターやシチュが大好きです。

 ただし、シナリオの比重が早智子(様)に傾き過ぎているように感じられたのが残念であった。野枝(様)シナリオは展開が駆け足で、ヒロインが徐々に変貌してゆき最期には牙を突き立てられ喰われる…といったようなカタルシスに欠けていたように思う。弱々な後輩ヒロインが改造されて支配者になっていくその過程と支配が頂点を迎える瞬間こそが至高だというのに…。尤も、己の欲望を投射し過ぎと言われれば正論過ぎて全裸になって仰向けに横たわる他はない…

 一方、早智子(様)の方は、タイトルの通り恋を足蹴にして欲望と愛を目指すという一本筋の通ったシナリオであった。支配者による天性の自覚、被支配者による隷属の自覚、そこから生まれる愛、嗚呼素晴らしい。一貫した射精管理を通じてそのような自覚が丁寧に描かれている。また、CGの早智子(様)の決して底を見せぬ表情にはゾクゾクしてしまった。早智子(様)に限らず、お二方の平らでのっぺりとした表情、どこか焦点の定まらないような目は、どこか神秘的なものを感じさせて、支配者としての絶対性を高めているように思われる。これは崇拝である。

 

 このように手軽に奴隷になりたい人は買いかと思われる。恋を踏みつけ、踏まれてみたい一本であった。

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2012/09/26

終わる世界とバースデイ レビュー

 -あの日。本当に世界が終わるなんて、誰も信じちゃいなかった。

 

 2012年7月末にコットンソフトから発売された『終わる世界とバースデイ』をコンプ。実は作品が発表された時から仄かな期待を寄せていた『終バス』であったが、結局終えたのは作中で世界の終わる9月末になってしまった。記念という意味も込めて、雑感をここに記す。

 『終わる世界とバースデイ』は新・終末系恋愛ADVゲームである。事前段階で予想された通り超展開が多かった。自明のことだが、超展開は諸刃の剣であり、基底部分をちゃぶ台返しする必要があることから、上手くいけば驚愕させられるが、失敗すると白けることになる。そのスリルと緊張を味わいたい性もあって、手を出さずにはいられなかった本作であるが、結果から言うと展開は玉石混交であったように思えた。

 目についた点は個別ルートでの終わり方や展開で、これが迫真に迫るものではなく、B級映画的な微妙な白けを残してしまっていたように思われる。ある意味、ここで反対側に突っ切ってもらえれば、それはそれで面白かったのだが。一方で、個別ルートから本道に入る展開には、心が惹かれるものがあった。それ以前に少々プレイすることが億劫になっていたので、その分救われた感はある。ただ、やはり世界観に馴染めない場合は個別ルートでドロップアウト、というのも十分考えられる。だが、ムラの部分を帳消しには出来ないかもしれないが、全体としての印象は悪くないように思う。

 陵辱要素に関して懸念する人もいるかもしれないが、陵辱は基本なし、陵辱らしきものは一回のみ。完全回避可能。しかし、逆に考えると、終末という題材を取り入れながら、人間の醜悪さの発露である陵辱が不十分なのは不自然であるとも言える。ただ残虐であれ汚くあれ、とまでは言わないが、折角18禁で作るのなら表現に幅があっても良かろうに、と思えた。

 それと、ローカルSNSのシステムは、実験的でありながらも、斬新で興味深いものだった。主人公の見えない所でヒロインが何しているか呟いたり、毎日日記を付けたりするので、純粋に何をやってるんだろうという好奇心から面白い。それと、地の文でメールが届いたことが知らされると、実際SNSにもメールが届いて閲覧出来るので、主人公の行動に同期することが出来て新鮮な感覚だった。惜しむらくは、SNSがおまけの領域を出ず、積極的に本編に絡んで来なかったことだろう。しかし、次回作以降でもお目に掛かりたいような、先のあるシステムであるように感じた。

 そんなこんなで総プレイ時間20~25時間?、暮れゆく2012年終末の年に思いを馳せながらプレイするとよろしいかと。9月末にプレイしたなら尚よろし。

以下、ネタバレ雑感。プレイ済の人、プレイする気のない人、腋コキされたい人のみ閲覧推奨。

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2012/07/16

空白期間のエロゲ雑感

 今年の三月~六月までの空白期間にプレイしたゲームの雑感。ちびちびやっていたので、そんなに数は多くないけれども。ひとつひとつ記事をあげてもよいのだけれど、プレイして時間が経ってしまっていているので、メモ程度の簡易雑感に留めることにする。

 

・少女連鎖

 ZEROから発売された、言わずと知れたマゾゲーの傑作。お手頃価格ながら、大変満足できる内容で、コストパフォーマンスが非常に高い。マゾゲーと聞くと、やはり辟易してしまう人もいるだろうが、基本ソフトM基調で苦手な人でも安心…だと思われる。

 プレイの一環としてのMではなく、精神の支配としてのM。それぞれ、SMの役割を演ずることで得られる快楽もあろうが、ここにあるのは表層的なものではなく、もっと実存に根ざした何かだ。神々しいまゆら様に支配され、身も心も委ねてしまうことの悦び。まゆら様は何者か。最後まで正体は分からないが、しかしそんなことはどうでもいい。まゆら様さえいれば、それでいい。まゆら様は太陽、まゆら様は至高者。これこそマゾヒストの楽園だろう。

 

・娘姉妹

 Runeから発売され、当時一躍話題となった問題作。後のたぬきソフトに続く系譜の始まり。色んな意味で突っ走り続けているが、中でもこの娘姉妹の突っ切りようはむしろ清々しい。

 近親相姦とは自己愛の延長だとはよく言ったものだが、それを極限まで高めるとどうなるか、娘姉妹は語っているような気がする。特に、妊娠エンドのユートピア具合と醜悪さがやばい。主人公が娘の妊娠後も妻に全く気をかけず、更に鈴が自分の母親を差し置いて、自分のことを「鈴ママ」と呼ぶ一連のシーンはそのグロさに戦慄さえした。ここまで血を分けた娘への愛を、自己愛を貫けるものなのか。以前から娘ゲーをもっとやりたいと言っていたが、己の欲望を極限まで高めるとこのようになるのかと思うと中々背筋の凍るものがある。しかし、娘ものは良い、うん。

 

・制服天使

 シャーベットソフトより発売された低価格シリーズ。続編も出るとのこと。制服制服しているようで、ブレザーのみとは納得がいかない(憤怒)

 制服と銘打つのだから、学園物だろうと思ったが実は逃避行物。逃避行なのに制服とはこれいかに。結局の所、何をやりたいのか方向性に欠けるゲームであったことは確かだろう。三角関係、逃避行、バトル、ハートフルストーリー、SF、凌辱、様々な要素があれども、一つとして纏まっていないように感じる。ゲーム自体がそこまで長くないので尚更そうだ。更に、エンディングで次回作を仄めかして終わるのだが、終わり方が非常に打ち切り漫画臭くてどうにもすっきりしない。低価格でぶつ切りにして中途半端なものを出していては本末転倒で、出来ればフルプライスで腰を落としてしっかり描いて欲しかったように思う。逃避行ものは大好きなので、非常に勿体無い。

 

・ふたりぐらし

 サークル姫宮夕日より発売された同人ゲーム。ちっちゃい姪っ娘といちゃいちゃしながら、お互いの傷を癒していく甘くも苦い同棲劇。

 私的事情ではこのゲームから、『ゆきいろ』『闇色のスノードロップス』と雪ゲー・冬ゲーが続く。孤独な少女と主人公が手を取り合い、雪が二人の悲しみを浄化していく、三作ともそんな非常に厳しい冬の世界に仄かな暖かさを感じさせる良作であった。特に、『ふたりぐらし』は低価格の同人ゲームながら、いや低価格故のキャラの少なさ故に、ふたりだけの世界を描けていて良かったと思える。世の中を諦めの境地で眺める姪っ娘ちゃん素敵。「お前のような1○才がいるか」と言われれば尤もであるが。

 

 今後はいうと、『RewriteHF』や『終わる世界とバースデイ』『いろとりどりのセカイ』、『はるまで、くるる』などを候補に入れている。ただ、PCの調子が悪く、重いゲームは中々動かないので、もっと古いゲームを適当に漁るかもしれない。最近では、往年の名作が次々にDL販売されていて、休日はますます部屋から出なくなるのだが、しかしまあいい時代になったものだなあ、としんみりと思う。今日も平和だ。

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