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2006/05/22

封鎖陣~晴晴哀謳~

昨日から今日にかけて、※、D.i.Lと共にDG-Law宅に世話になりますた。終始、現代美術を含めた絵画トークで夜は更けていった。

早朝に、米が例大祭の為に離脱。自分を含めた三名は正午過ぎまで爆睡。昼食をカレー屋で済ませた後、解散と相成った。ここで素直に帰るべきであった、と今になって思う。実を言うと、本当なら池袋でオリエント博物館や例大祭に乱入したかったのだが、止む終えぬ事情があった。実は、先週金をおろし忘れていたため手持ちが殆ど無く、残金250円也。流石にこれでは、何も買えないし、惨めであった。断念。また、今週末は、色々とあったため、この後は大人しく自宅へ帰って養生するべきであった。本当に。

が、事の真相は違う。何を血迷ったのか、「折角だからここまでチャリで辿り着いたのだから秋葉まで逝って来る、その後帰り道がてらちょいと東京行脚してくるわ」といつも通りの思いつき発言をしてしまた。どうせ、金が無いから地下鉄じゃ帰れんし、気分転換に東京各方面でもサイクリングするかね、という軽い感じで。そして、秋葉へと行軍することとなったのである・・・・・・

そもそも、何故、自宅からわざわざチャリで移動してきたのかが自分でも分からない。因みに、自宅から本郷まではゆうに10㎞はある。貴方、なんなの?(←ツンデレ風に)

土曜(20日)の夕方、サークルが終わって一度帰宅。諸諸の肉体的活動と、帰路で大雨に打たれたことにより、かなり疲弊はしていた。ここで、地下鉄を使うべきであった。しかし、何かがそうはさせなかったのだ。ふと夕涼みに窓を開け放ったベランダから見えたもの。雨が上がり、程よく湿気を含んだ大気に広がる黄昏。暗鬱たる雲の狭間から漏れる橙色の光帯。「そうだ、チャリに乗ろう。」・・・・・・・・・・・米より託された酒瓶を手に携えて、自宅を発った。

回想終了。。
さて、本郷から秋葉までは目と鼻の先である。自転車ならばものの数分で着く。自宅~本郷間に比べればなんてこと無し。・・・・・・の筈だった。

その異変には、勢いよく坂を下る時に気づいた。何か、ギアの辺りがギヂギチギチ呻いていることに・・・・・・。空耳だろうと思い、五月晴れに映える新緑を眺めながら無心にこいでいた。カスンカスンカスン・・・・・・・・・・・ギヂギチギチ・・・・・・・・・心なしか、ペダルが重い。この兆しから、ちょいと嫌な予感がした。以前、高校時代通学に利用していた先々代がこの後どのような末路を辿ったか・・・・・・・・・。嫌な予感とは常に当たるものである。だから、黙殺することにした。丁度今日は天気が良いので、巷で色々と話題のハレ晴れユカイでも脳内i-Podに再生しておいた。さあ秋葉まではあと僅かである。

約十分後。帝都到着。からりと晴れた青空の下、歩行者天国が展開されていた。休日ということで、皆伸び伸びと好きな様に今最も話題が多いこの街を闊歩している。中には、路上撮影会などもあった。それも興味があったのだが、それを含めたのんびりとした休日の街のヒトコマに心を癒されていた。元々、同人誌を買う金も持ち合わせていない。数年前には、目を怪しげに光らせて遠路遥々、この帝都に遠征したものであった。見るもの全てが物珍しかった。実に懐かしい。しかし、今日のように、休日の日曜、乗り馴れたマイチャリンコでふと訪れて何をするでもなくぼーっとすることがあろうとは。かつて見た街並みとはまた違う意味で新鮮であったといえる。

そんな風に、色々と縁の深いこの街に思いを馳せながら、帰ろうかと踵を返したその時に。今、己の置かれている状況を思い知らされた。

歩行者天国で、自分の隣にひかれているチャリからは相変わらず嫌な音が聞こえる。手入れもせずに、乱暴に日々通学に使っていたことが災いしたか。己のような重肉を載積して何十キロもこがされた所為か。これ以上酷使すると、一部分解しそうな感じであった。これが、今、自分が使え得る、唯一の脚である。

というのも、残金は先述べた通り僅か250円である。いや、訂正しよう。眠気覚ましに途中でオロナミンCを買ったので、残り130円である。・・・・・・・・・これでは、東京の大動脈たる山の手線、地下鉄各線は使えない。こんなことなら、昼飯は素直にポークカレーを食うべきであった・・・・・・・・・・。ポークカレーは400円。しかし、己が頼んだのはヒレカツカレー。850円飛んだ。おまけに、寝起きにカツカレー。満腹ではあったが、カロリー激高のブレイクファーストに胃は悶えていた。「金銀じゃあ、腹はふくれねえだろォ」と、冒険ものに出てきそうなダンディなおっちゃんが言っていたが、己の場合は全く逆であった。・・・・・金くれ。

チャリは運用危険状態、電車に乗る金は無い。秋葉から自宅まで約12km。体は満身創痍で胃がもたれて吐きそう。周囲は、歩行者天国。交差点には、車両乗り上げ禁止の立て札。何だ、この状況は?
・・・・・・・・・・。
そうか、ここは、陸の孤島、秋葉原・・・・ッ!(違います)
そう悟ってしまった瞬間に、目に映っていた牧歌的(??)な休日の光景は塵と失せていた。次第に体が、(しなくてもいい)焦燥感に焼かれていた。

果たして、己は自宅へ帰れるのだろうか?少なくとも、普段通りには帰れないことは確かであった。だいぶ体調は悪い。早く家に帰って布団にダイブしたい・・・・・・・!切実な問題であった。目の下に熊を浮べて、行く当てもなく封鎖都市(被害妄想の産物)を彷徨する不貞の男。明らかにヤバイ。が、そんな男にも、声をかける者があった。

「お帰りなさいませ、ご主人様w」

メイドであった。今では何も珍しくないメイドであった。普段なら、苦笑いを浮べてしまいそうなこの決まり文句も、今の自分にとっては火に油をそそぐものに他ならない。

(お帰りなさいませ、だと・・・・・! ここ(通り沿いの冥土喫茶)は俺のマイホームなのか? いつから、俺の家は冥土喫茶になったんだ? 俺は、正真正銘自宅へ帰りたいのだッ 例え、大学生一人暮らしの煩悩の坩堝のような惨めな自宅であったとしても、だ! 薄汚れたシーツに「お帰りなさいませ」と言われたいッ! 俺は、布団で寝たいんだっッ! 萌え萌え(死語)なハーレムなんて要らんのだよ、今の俺にはッ! 仮に、俺が冥土喫茶に入店したところで、一文無しの不貞浪人じゃあ待遇などたかが知れているッ こんな男、主人どころか茶坊主にも劣る・・・・・・・・・ フッ・・・・・・・・・どこまで行っても所詮は資本主義の狗(よく意味分かってません)だったのだな・・・・・・・・・・ッ 俺はもう逝くぜ あばよ)

そのように心で叫び、傍若無人にあしらおうとした。

「当店をよろしくお願いしますv」

己「あ、ハイ、どうもです・・・・・・」

気づいたら、チラシを受け取っていた。ちょっと引き攣った笑いを浮べて。しかも、ちょっとかわいかったぞ、あのメイドさん・・・・・・・。やはり、己は弱弱であった・・・・・・・・orz

どうにもならない、状況故に、余計に暴走をするものである、人は。。
(こうなったら、残り130円の銭を使い切っていっその事一文無しになったるッ 秋葉名物「おでん缶」を買って、我が胃袋に注ぎ込んでくれるッ このなんとも云えない旨み成分を我が血肉にッ)
そうして、名物店舗へと歩を進めた。。
「おでん缶、230円になりまーす」
俺は、おでん缶にも、見捨てられたのか・・・・・・・・・・・orz あああああ

・・・・・・・・・・幻聴か。周囲から、「ハレ晴れユカイ」が聞こえてきた・・・・・・・・・・・ああ、なんて愉快なリズムなのだろうか・・・・・・・・・・幻覚か、周囲の人々はリズムに合わせてダンスを踊っているように見えた・・・・・・・・
目蓋には、かつてWEB上で見た軽快にダンスを踊るナイスガイな漢の姿・・・・・・・・
ああ、自宅に帰りたい・・・・・・・・この状況は、正に「四面楚歌」であった・・・・・・・・・! かつて、聞いた「ハレ晴れユカイ」が郷愁を憶えさせる・・・・・・・胸から熱いもの(多分昼食ったカツカレー)がこみ上げてくる・・・・・・・・・故郷たる自宅よ・・・・・・・・・そうだ、生きて、生きてこの封印都市(誇大妄想)から帰るのだ・・・・・・・・・・ッ!

どうにか、どうにかして無事に帰る手段はないものか。携帯で救援を求めることはできなくもない。しかし、この状況はあまりに悲しすぎるため、ここはなんとか単独で脱出を試みるべきであろう。やはり、なんとかして電車には乗れないものか・・・・・・・・残り130円。130円? そうか、130円。そうだったのか! 130円。それ即ち山手線の最低運賃である。本来なら、乗れて一駅、二駅が限度ではあるが・・・・・・・・。しかし、その金額にこそ、特別な意味がある。130円の切符一枚でここ秋葉から何所まで逝けるのか。シリウスを目指せるのか。賢明な読者ならもうお分かりであろう。
即ち、無賃乗しゃ(ry)
(※ハイテクな自動改札に加え、JRの怖いお兄さんにシバかれそうなので断念)

残る手段としては、財布の中の虎穴カード3856pを身売りして金に換える方法しか無い。しかし、そんなことをするぐらいであったら壊れかけの自転車で帰った方がマシである、と即断した己の捻くれた矜持があった。カエレ。

覚悟は、決まった。俺は、この相棒たるチャリと共に自宅まで帰る。相棒を、信じよう。終には死にかけの相棒を引いて、歩行者天国の外へと躍り出ていた―――

・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・

んまあ、今このブログに一部始終を書いているということはチャリも大破せず無事に帰宅できたということであろう。こうして自宅で聞く「ハレ晴れユカイ」は心なしか感慨深いものがあったとかなかったとか。

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コメント

強硬にカレーを主張して申し訳ないっす。
寝起きにヘビーなものを食べて平気な人とそうじゃない人がいることを失念してました…。

投稿: D.i.L | 2006/05/22 02:35

いやいや、こっちに来てから寝起きにキムチ炒飯とか結構な頻度で仕出かしてましたからー
胃袋が丈夫であればあるほど一人暮らしは有利・・・ッ(着目点違)

投稿: ネ右 | 2006/05/23 22:23

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