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2011/04/27

続・声に出して読んでみたい虚淵玄-地獄のシナリオライター-

 人生に行き詰まった時、救いはないんですか?と呟いて項垂れてしまう時、もしかしたら光明と成り得るかもしれない虚淵玄作品のそんな言葉たち。前回分からと併せてわりと希望度高めのものを再編集。

せめて最期は幸せな記憶を…

以下、ネタばれ多数。

                                                             

                                                             

「この世界が無限の地獄じゃないとしたら、
それはあなたが生きているからよ」

~『Phantom of Inferno』    エレン

絶望度★★★★    希望度☆☆☆☆☆☆ 
ファントムが名作たる所以の名台詞。空は綺麗な青さでいつも待っててくれるんだね。

                                                             

「あなたが生き延びてくれるなら、
それがわたしの生きた証です」

~『Phantom of Inferno』    エレン

絶望度★★       希望度☆☆☆☆☆
こちらも。寄る辺なき殺し屋であったアインが、地獄の底で見つけた掛け替えない答えであった。

                                                             

「私は夢想する--いつの日か、我が娘の頭上に愛という名の祝福がもたらされる未来を。
恋のときめきが彼女の胸を焼き焦がし、彼女を巡る世界が、ふたたび輝きと喜びを取り戻す日を」

~『沙耶の唄』 奥涯雅彦    

絶望度★★★★★★ 希望度☆☆☆☆☆☆
ある意味希望であることには間違いない開花END。この場合、絶望と希望は紙一重。案外そんなものなのかもしれない。

                                                         

一人のフランコが死んだとしても、百人の同志たちの心に、千人の敵たちの記憶に、
百人の、千人の『黒のフランコ』が生き続けるのだと。
"だから、アタシは-"
このまま、希望の唄を唄いながら逝こう。きっと『彼』ならそうしただろうから。

~『続・殺戮のジャンゴ-地獄の賞金首-』 イライザ・ウォーロック

絶望度★★       希望度☆☆☆☆☆☆
英雄フランコを騙る荒野の犬畜生でしかなかったイライザが最後に思い出した真の英雄の姿。自ら革命の希望となる為に死地へ。ビバ・フランコ、ビバ・リボルーゾン。

                                                         

「あんたは憶えてないだろう--10年前、あんたに金貨6枚で売り飛ばされた小娘のことなんて。
あのとき、あんたが手にした金貨で、あたしは自分を買い戻す」

~『続・殺戮のジャンゴ-地獄の賞金首-』  ノーバディ

絶望度★★       希望度☆☆☆☆
自由の為への決闘。単なる復讐を超えた清々しさがここにある。グヘヘ、カッコ良すぎてお股が大洪水だぜェ!

                                                            

「誰よりも傷ついて辛い目にあってきたくせに、どうして貴方が報われないの?
どうして最後まで一人ぼっちなの?」

~『BLASSREITER』 アマンダ・ウェルナー

絶望度★★★      希望度☆☆☆☆
かつて敵・化物扱いしていたジョセフへ、アマンダからの言葉。ここに至るまでにブラスレイター達の悲惨な生き様を見てきたからこそ、初めてジョセフに共感し得たのだろう。

                                                             

「全てを見届けた上で、最後まで生き延びてくれた人がいるなら、それが俺たちブラスレイターの救いだ」

~『BLASSREITER』 ジョセフ・ジョブスン

絶望度★★★     希望度☆☆☆☆☆
先のアマンダに対する応え。これを別れの言葉にして、最終決戦へ臨む。

                                                             

「絶望をもって、希望をつないで死んでいった者たちの真の強さを、
おまえはわかっているはずだ」

~『BLASSREITER』 ジョセフ・ジョブスン

絶望度★★     希望度☆☆☆☆☆   
ジョセフ面目躍如。理不尽に虐げられた人々、呪われた存在であるブラスレイター達を寝ながらも見続けていた彼だからこその言葉。

                                                             

「希望を抱くのが間違いだなんて言われたら
わたし、そんなのは違うって何度でもそう言い返せます。 
きっといつまでも言い張れます」

~『魔法少女まどか☆マギカ』 鹿目まどか

絶望度★      希望度☆☆☆☆☆☆
まさに救世主。どんなに悲惨であっても苦しくても結末として悲劇であっても、魔法少女達の祈りを無意味ではなかったと許したのだった。ああ、まどか様… これからは新興宗教を断るとき、「まどか様がいつも私達のことを見守っていてくださいますから」と言おうと僕は心に誓ったのであった…

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 虚淵玄のシナリオは欝であり、救いがない、と言われてきた。確かに間違いなくペシミズムではあるのだが、しかし全ての希望を根絶やしにするニヒリズムではない。必ず何かしらの希望は示されるのだ、例え結末として待ち受けるものが幸せとは言い難くとも。

 最新作であるまどか☆マギカもこの例に漏れない。ただし、いままでの問題意識から踏み出した部分もある。いままでは各々が自ら救いを見つけ出さなくてはならない自力救済であった。多くの犠牲を払いながら、ようやく手に入れることが出来る答えである。対してまどか☆マギカは己以外の魔法少女達の救いも示した。いや、むしろ救いしか示さなかった。他力救済だ。この部分がキリスト教や大乗仏教に関連付けられる部分だろう。

 ただ、それはやはり不条理な世界を覆すものではない。絶望は否定されない。加えて救いは示されたが、死に際まで魔法少女達はまどかの存在を知らない。終わりを迎えるまではやはり希望と絶望に足掻きながらも懸命に生きる他無い。彼女は神如き存在だとしても、それを覚えているのはほむらしかいない。神秘体験や啓示を多くの人々の間で共有することを宗教と呼ぶならば、やはり「まどか教」なるものは存在しないのだ。

 考えてみると、単純なストイシズムとも違う「自らを以て希望を皆に示す」という発想が、ジャンゴからブラスレイターを経てまどか☆マギカに至る流れの中にあるのかもしれない。(ブラスレイターとの関連性は前回の記事を参照。)ただ、まだまだ虚淵玄先生の作品は続く。見解を述べるのは時期尚早だろう。

 希望は示される、でもそれは揺るぎないものではないし、それで完結するものでもない。示されたものは我々に問いかけるだけだ。辛くて苦しくてもただ“痩せ我慢”を貫くことしか出来ない人々の魂に、そっと入り込んでくる。示されたことを自らに問いながら、溢れ出した不安の影を何度でも裂いてこの世界歩んでいこう。絶望を以て希望を“繋いで”いく、それはとっても嬉しいなって。

 さて最後に、記事を書いておいて何だが、言葉そのものよりもキャラクターの在り方自体に力があるからこそ心惹かれるのだ。これ以上のお喋りは無粋の極みだろう。これにて締めとさせていただく。後は、テキーラでも飲みながら。

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「謎の白い液体の正体とは?」

~『魔法少女まどか☆マギカ』  プルケ

「語り得ぬものについては、沈黙しなければならない」

~『論理哲学論考』 ルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタイン

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