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2011/05/10

White-blanche comme la lune- レビュー

-眩しかった日のこと、そんなおしっこの日のこと・・・

                                                         

 さて、ねこねこソフト復活後完全新作ということで私的に期待していたWhiteだけど、巷での評判通りいままでの作品の堅牢な作りに比べれば遥かに心許ない作りであったことは確かだと思われる。

・システム

 他メーカーの安定したシステムに比べればどうしても見劣りする。しかし、システム面はあくまでプレイする上での補助でしかないのでそこまで言う程のことでもないだろう。

・音楽

 流石エレメンツガーデンは良い仕事してると思う。ボーカル曲は5曲。どれも情緒溢れる良曲揃い。

・グラフィック

 色々、立ち絵や一枚絵などでおかしな部分が見受けられないこともない。また、コットンソフトからの応援部分が全体的に浮いていて違和感を覚える場面も。全体として安定はしていない、というのが正直な感想。

・シナリオ、構成

 攻略キャラは、ほたる・ブリジット・カナン・クレア・マリカ・ミサ(おまけルート)の6人。オールクリア15時間くらい。
 今回の最大の問題点はやはりシナリオと構成にあったと言っていい。構成は、まずほたる・ブリジットのそれぞれのシナリオをクリアした上で、カナン・クレア・マリカの一本道の本筋のシナリオに進んでいく形となっている。カナン~マリカシナリオはウナトミーと片岡ともさんが書いているので安定感があり読み応えがある。しかし、ほたる・ブリジットシナリオが外注ライターなのか本筋シナリオと巧く噛み合っていない。義妹騒動の元となったほたるシナリオに至っては本当に構成上必要なのか、と問いたくなるような出来であった。
 更に、ルートによっては予告無しに主人公が変わってしまう、というサプライズ。シナリオを進めていく上でかなり混乱を招いたことは否定出来ないと思われる。人によってはスカーレットを事前にプレイしていないとタブル主人公展開についていけないかもしれない。どのようにシナリオを進めていくかしっかり吟味した上で、発売前に複数主人公制なり視点変更なり広報するべきだった。
 結果として本筋のルートに至る前にやる気を削がれてしまったり、全編が終わった後でもシコリのようなものを感じずにはいられなかった。

・総評   △68点

 音楽や本筋ルートの良さにも関わらず、構成に問題があり巧く作品として纏まらなかった、というのが感想である。体験版の時点でかなり迷走していて不安に思っていたのだけど、悪い予感が的中してしまった。
 特に構成面では、スカーレットのように一本道の章立てにして、事前に広報をしておけばここまで不安定にはならなかったのではないだろうか。本筋シナリオに関しては『無垢』というテーマをねこねこらしいやり方で描き切っただけに、非常に勿体無い、としか言いようがない。

 以下、ネタばれおしっこ雑感
プレイするつもりの無い人やおしっこを直飲みしたい人のみ閲覧推奨

                                                         

                                                         

・ヨスガにソラってろ騒動

 ヨスガにソラってろ騒動については以下のリンクの参照

 Whiteで妹を攻略しようと思ったらサブキャラが主人公になっていた。何を(ry

 「そんなに実妹がよけりゃ、ヨスガにソラってろっ」White(ねこねこ)が各方面に喧嘩を売る

 これは正直記事を見た時に「大丈夫かよ、これ…」と感じたものである。しかし、この問題の原因は義妹原理主義と実妹原理主義の闘争ではなく、先も述べたように完全に構成上でのミスであるように思う。そりゃあ、予告なしの主人公変更・妹NTR展開は血縁エンドを心待ちにしていたお兄ちゃんズの心を砕いたに違いない。察するに余りある。
 だが、敢えて擁護するならば、Whiteを妹シナリオで切ってしまうのはあまりに勿体無いと言わざるを得ない、と主張しよう。確かに全体として不安定な出来上がりにせよ、あくまで本筋から逸れたサブシナリオをここまでスキャンダラスに騒ぎ立て、更に作品に色物の烙印を押してしまうにはあまりに惜しいと思うのだ。もとより妹ゲーではなく双子おしっこ幼子ゲーなのだから、ある程度は割り切る必要があろう。やはり、妹はおまけえちぃメインにして、えちぃの時だけ義妹になったりとか魔法を使ったりして巧く誤魔化してやればみんな幸せになれたのに… どうしてこうなってしまった… 助けて女王様!

                                                         

・尿-Nyou-

 総評では取り上げなかったけれども、Whiteはおしっこゲーと言っても過言ではない。ただし、スカトロが苦手な人でも大丈夫。日常的にお漏らしをする双子シスターズに主人公が紳士的に接するほのぼのスカトロだからだ。喩えるなら、飲尿健康法である。そこにやましい気持ちなど介在する余地はない。おしっこ、放尿は掛け替えの無い日常の一コマであるに違いないのである。日常の一コマ過ぎてヒロインのHシーンよりも放尿シーンの方が多いという力の入れようである。
 そういう意味では個人的には愛すべきゲームであった。眩しかった日のこと、そんなおしっこの日のこと…

                                                         

・眩しかった日のこと

 今回、シナリオ面でどうだったか、と言えば『銀色』+『朱』のテーマをスカーレットの形式で表現したのがWhiteだったのではないか、と思っている。『銀色』と『朱』の、淡々と飾らずに事実を叙述するスタイルは今回も健在であり、その非情な世界観も見事に継承されている。

 作中では、長命人という常人の5~6倍の寿命を持つ一族が登場し、話の中心となる。彼らは常人とは異なる時間を生きるが故に成長スピードが遅く、一般人に存在を知られぬように隔離され「無垢」に育てられる。ここで敢えて吸血鬼などの人外・異能を出さなかったのは、とてもねこねこらしい。長命人は、古より存在する魔の眷属ではなく、遺伝子交配によって人為的に寿命を引き伸ばしたただの人間だったのだ。彼らには彼らの日常が存在しており、ゴシックホラーやロマン主義的には描かれない。淡々と彼らの生活が描かれるのみである。結果として、吸血鬼物の、吸血鬼のパートナーが眷属の血を貰い受け、同じ吸血鬼として悠久の時を過ごしながら孤独を癒す、といった展開は初めから封じられている。彼らはあくまでただ寿命が長い人間であるだけなので、通常の人間と共に過ごす時間はいつか必ず別離という形で崩壊することが最初から約束されている。そこで日常生活の延長線上に必ず終わりがある、ということが強調される。

 昔、『銀色』をプレイした時に第一章からすっかりハマったのも今ではいい思い出だが、プレイし終えると感動とは別の、胃に穴が空いたような苦しさが同時にあったものであった。正直今でも、"先人はかく語りき"を聞くと胃潰瘍になりそうだ。Whiteでも中盤から終盤にかけて胃が痛くなるようなシーンが満載である。それは、あくまでモンスターや魔法など非日常的な事象ではなく、あくまで日常的な事象によって悲劇を引き起こすからだろう。ロマンや神秘を背後にすることが出来ないから、悲劇のカタルシスというよりは悲痛さだけが胸を打つ。シリアス展開のねこは間違いなく欝ゲーだろう。

 しかし、ただ辛いだけならいくらフィクションとは言え精神的に限度がある。鬱展開はただ欝の為にあるのではないだろう。己が欝ゲーが好きなのは、苦痛が好きなMだからに非ず。逆に、当たり前の日常が輝くからこそである。銀色や朱・Whiteでは、欝や悲劇があくまで日常の延長上にあるからこそ、そうではない日常の掛け替えなさに説得力が出るのだろう。ファンタジーで盛り立てずに、飾らず苦しみや大切な日常の日々をただ描く姿勢が良い。そんな普通だけど、当たり前の事を当たり前のように受け入れられる真摯さが好きだ。だから、Whiteに枕詞として「眩しかった日のこと…」を置いても何ら支障がないように思う。何だかんだ言って記憶に残る作品だった。

 最後に、まとめとしてWhiteで何が言いたかったのか私的に分析すると、みんな毎朝当たり前のようにおしっこ出来るのは、かくも素晴らしいことなんだよ、ということなんだろう。多分。騙されたと思ってヤってみんしゃい。まずい、もう一杯!

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コメント

ボクと契約して『砲火後peeタイム~循環の理~』という同人誌を(ry
マミ茶直飲みしたいれす(^q^)

投稿: ta-ki | 2011/05/14 08:56

成程…
しかし、そもそも魂が分離された魔法少女はおしっこするのか否かが議論の焦点ではないかと僕は考えるのです…
ああ、もうティロる!

投稿: ネ右 | 2011/05/15 06:29

読みやすくて参考になるレビューでした。
尊敬します!

投稿: | 2013/11/12 10:31

ありがとうございます!
このWhiteのレビューについてはおしっこおしっこ言い過ぎた感があり本当に大丈夫なのかこのレビューと思っていたので、参考になると言っていただけて安心しました。おしっこ。

投稿: ネ右 | 2013/11/12 22:27

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