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2011/06/13

女戦士と中学生-CLAYMOREとまどか☆マギカ-

 話が似ている、とまどか☆マギカ放送中から各所で指摘されていた漫画CLAYMOREとの関連性を考えてみた。今の機会を逃すと、恐らく書かないと思うので。後、マミさんとおっぱいについても考えてみた。

以下、ネタばれ注意

                                                 

                                                 

・CLAYMOREとまどか☆マギカ

 まどか☆マギカ放送中から、各所で、時には雑感として時にはアンチスレのバッシングの根拠として、共通点が指摘されてきたCLAYMORE。話の構造もさる事ながら、別の部分でまどか☆マギカとの共通点が指摘されていた仮面ライダー龍騎の脚本である小林靖子がアニメ版CLAYMOREの構成を務めていることもあり、色々と因縁めいた調子で語られた。(更に小林氏はBLASSREITERの脚本も手掛けている)

 類似点については以下の記事が詳しく列挙しているので、参照したい。

 まどか★マギカとクレイモア

 話題に上がる時に類似点として特に挙げられているのは、魔女化と覚醒者の覚醒、そしてその対象となるのが女性、という二点だろう。特殊な力を持つ者が力や絶望によって悪しき存在に堕ちる、というのは異能バトルものによく見られる展開ではあるが、これが女性であることに拘っている、という点を加えるとかなり絞られる。しかも、設定上の合理性を重視したというよりはよりフェティッシュな感覚で設定されているように感じるから余計に似て見えるのかもしれない。そして、これらの設定に加えて、突然前触れもなくキャラが死んだり、全ての戦いが仕組まれたマッチポンプであったり、様々な要素が加わって両作品を知るものはなんとなく似ている、と感じられるのだろう。

 だがしかし、ある程度共通点は見いだせるものの、CLAYMOREとまどか☆マギカは決定的に違う、と私は考える。それは何故かと言えば、「まどか☆マギカは中学生の話」であって「CLAYMOREはウーマンの話」だからである。もっとざっくり言ってしまえば、「CLAYMOREはおっぱいボーンでムキムキのねーちゃん達が絶望に喘ぎながら闘う話」であって、「まどか☆マギカはうめ先生キャラデザの可愛い中学生が真実に絶望して悩み苦しむ話」という違いだ。同じ女性でも描かれる対象が違うのだ。欲望に忠実に語ると「おっぱいの大きさ」である。

                                                 

・DEAD OR OPPAI

 さて、ここで一つの理論を想定してみたい。それは「ボンキュボンでムキムキのねーちゃんはより非道い目に遭う」理論である。これはアニメや漫画、映画などでは割り合い納得出来る理論ではなかろうか。例えば、何かミステリーもので豪華客船に幼女とボンキュボンのキャリアウーマンが同席していてそこで殺人事件が起こったら最後までどちらが生き残ると考えるだろうか。恐らく幼女の方を連想するのではないか。大概、ウーマンの場合、「もう嫌!こんな所にはいられないわ!帰る!」とか「この中に犯人はいるのよ!そういえば、ボブ、あんた死んだジョージに恨みがあったわよね!」とか言って次のシーンで死ぬのがオチである。自然状態ならば腕力や体力の差でキャリアウーマンが生き残りそうだが、創作の世界では案外幼女の方が生き残る。これについては当の虚淵玄も似たようなことを述べており、BLACKLAGOON8巻での広江礼威との対談では特に色濃い。

                                                           

虚淵 よく周りに冗談半分で力説するんですけど、胸の大きさはヒットポイントだって(笑)。デカイほど頑丈。

広江 なるほど(笑)

虚淵 だから(映画やゲームとかで)オッパイのデカイ女の子がモンスターに襲われても、ある意味安心して観てられるんですよ。ぶっ殺されても、あんまり心が痛まない。

広江 そう…って、そうなのか(笑)?

虚淵 そういうのは弱い者イジメって気がしないんですよ。どちらかというと「野生の王国」を観ている感じですね。

-BLACKLAGOON8巻 対談「ヘタレの地平線 オルタナティブ」

                                                           

 この理屈は、CLAYMOREにも適用出来る。何故なら主要登場人物はみな女戦士でありアマゾネスばりに逞しい。登場人物の身長なんか170cmで低いくらいだ。だからこそ、皆相当非道い目に遭う。斬られて大出血なんか日常茶飯事、四肢切断、触手で全身を貫通、八つ裂き、首チョンパ、なんでもござれ。明らかに残虐な表現を全面に押し出している。

                                                 

・理想と現実

 この「ボンキュボンでムキムキのねーちゃんはより非道い目に遭う」理論だが、CLAYMOREとまどか☆マギカの違いを考える上で非常に重要だと思われる。どういうことかと言えば、これによってキャラクターの立ち位置が大きく異なってくるからである。CLAYMOREの女戦士達は「常に非道い目に遭ってきて」そして何より「現実の悲惨さを身に染みて知って」おり、対してまどか☆マギカの魔法少女は「時に悲劇に遭った」としても「まだ希望や理想を信じることが出来る程度には純真」なのである。この違いは大きい。例えば、CLAYMOREの設定として、女戦士は最終的に妖魔化して覚醒者になる、というものがあるがこれは既に物語が始まった時点で共通認識としてあるのである。もう最初から自分たちが倒している覚醒者がかつての女戦士であることも知っているし、自分が最後に悲惨な終わりを遂げることも分かっている。対して魔法少女は「まさか自分達が倒すべき敵である魔女になるとは夢にも思わない」。物語の骨組みは似ていても受け取り方がまるで違う。

 また、展開の魅せ方も大きく異なる。まどか☆マギカといえば、三話でのマミさんの衝撃的な死が挙げられる。この寝耳に水の展開で一気に人気が加速したのは周知の事実だが、これは単純にグロテスクだから話題に挙がったのではない。勿論、首が取れて魔女に捕食されるというのはグロい展開ではあるが、何故ここまで衝撃を受けたのかと言えば夢と希望の存在の魔法少女が死んだから、つまり夢と希望を信じる少女の視点と重ねあわせて観ていたからというのが大きいだろう。少なくとも、うめ先生の絵で可愛い女子中学生がキャキャウフフ展開という願望があったから裏切られた。理想を裏切ることにこそ狙いがある。一方で、CLAYMOREにはそんな猶予や余裕など最初から与えない殺伐とした空気がある。女戦士は戦いの中で死ぬこと自体は当たり前、驚くに値しない。だから、シーンごとの衝撃というのは唐突な死やグロテスクな描写の方にウェイトが置かれる。衝撃の質はやはり違うように思うのだ。

                                                 

・このクソだらけの世界で

 置かれた立場が異なれば、考え方も当然異なる。魔法少女達は例え苦しい戦いが続いてもまだどこかに希望がある筈だと信じている、またもしくは誰かの為に役立てる筈だと心のどこかで思っている。しかし、女戦士はそんな甘い考えなど持ちあわせていない。自分達に救われる道などないと知っているし、人々からは斬殺者として恐れられる為人の役に立とうなどとは思えない。彼女たちを使役する組織も半ば恐喝で村や町から高額の報酬をふんだくっている為、そんな腐った組織への忠誠など微塵もない。ただ、現実問題そうでなければ人間が妖魔に捕食されて社会が崩壊するし、自分達もそうしなければ生きていけない為、諦観のもと無気力に従っているに過ぎない(注)。まさにクソだらけの世界に生きている。だから、彼女たちには何が正しいかとかどうすれば皆幸せになれるか、という発想は殆どなく、クソだらけの世界で自分達はどう生きるべきかどう行動すべきかという発想ばかりだ。

 だから、まどか☆マギカは「中学生の話」であり、CLAYMOREは「ウーマンの話」なのである。案外、まどかやさやかが中学生であることを忘れてしまいがちだが、夢や希望をまだ純粋に信じていられた立場として重要な要素である。「中学生」という年頃の設定やうめ先生の可愛らしいキャラデザは決して奇をてらう為だけに用意されたものではないのだろう。CLAYMOREの「ボンキュボンッのねーちゃん」だって、ただおっぱいが見たいだけの為ではないのだ。 いや、確実におっぱいは見たいけど。

(注 尤も、後でそれが組織が仕組んだ巨大な計画であることが判明するが…)

                                                 

・死者の烙印 微笑のテレサと巴マミ

 ここまでCLAYMOREとまどか☆マギカの相違点について考察してきたが、それを象徴的に示す展開がある。それは、微笑のテレサと巴マミの死についてである。

 この二人は、実は救われ方から死に様までよく似ている。二人とも孤独の苦しみを無理に押し込めて生きてきたが、やがて痛みを分け合い愛することが出来る存在を見つけて一時は救われる。しかし、それが甘さに繋がり命を落としてしまう。そんなキャラクター達だ。しかも両者とも最後は首を刎ねられて別れの言葉もないままに死んでいく。ショッキングな展開だ。

                                                 

 しかし、彼女らの愛する者でありその死を受け止める主人公の行動は正反対だ。まどかはマミさんの死を目の当たりにして魔法少女になることを踏みとどまる。そして、それ以後魔法少女という存在や奇跡を願うことについて真剣に考えていくようになる。対して、CLAYMOREの主人公のクレアは、迷いなく女戦士になることを選ぶのである。しかも、女戦士の苦しみや悲惨さを全て知った上で、である。テレサを殺されたことへの復讐として仇を討つ。それが彼女の生きる理由である。そこには夢も希望もないんだよ… やはり二人は対照的である、と言わざるを得ない。

                                                 

・おっぱいマミマミ

 確かにCLAYMOREとまどか☆マギカは一見してみればかなり似ているとは言える。しかし、やはり問題は作品中のキャラクターがどのように考え行動したかなのだろう。登場人物の立場が違えば、どのように物語が完結するかも自ずと異なる。CLAYMOREはまだ完結を見ていないが、恐らくまどか☆マギカの結末とは大きくかけ離れたものになりそうである。今後もCLAYMOREからは目が離せない。

あと、マミさんのおっぱいからも目が離せない おっぱいマミマミ

 

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コメント

 こんばんわ。TBありがとうございます。やはりマッチョな女戦士よりもフリフリの衣装で戦う女子中学生の魔法少女が悲惨な運命をたどった方が話題を呼びますね。

 クレイモアは大人版まどか★マギカと言うわけですか。大人と子供の違いは厳しい現実と剥きあってなお戦えるかどうかですから。

 佳境に入ったクレイモアはラキの成長っぷりも半端ないですね。むっちゃカッコいい。最終回にはクレアと晴れて結ばれるんでしょうか?楽しみです。

投稿: はらだいこ | 2011/06/13 20:17

 いえ、こちらこそありがとうございます。記事を書く上で参考とさせて頂きました。

 やはり、救いはないけど、その分クレアやミリアや他の女戦士達の真摯な生き様が伝わってくるというか、どう生きるかというのが問われてるような気がしますね。やはりそういう意味では完全に大人の世界なのかなあと思います。

 大人になったラキとクレアがどんな風に再会してどんな結末を迎えるかは、最大の見せ場なので期待せざるを得ませんね。そのシーンを想像するとちょっとニヤニヤしそうですw
 

投稿: ネ右 | 2011/06/13 23:05

 CLAYMOREには少年ラキがいたから、女ばかりというイメージは当初からありませんでしたね。
 覚醒者にも男キャラが混じっていたし、CLAYMOREも開発当初は男が居たという設定ですし。
 なんだかんだCLAYMOREは少年漫画で、『強敵をバトルで倒す』というストーリーラインの肉付けなんですよね、設定が全て。
 そのあたり、戦いのムダ、空回り感の強かったまどかマギカとは類似性をあまり感じませんでした。
 設定に似ている部分はあっても、構成や演出が全然違う、というのが、両者を連載(放映)開始当初から追っていた、自分の素直な感想です。

投稿: ken | 2014/11/03 21:44

類似点はあれ、展開や構成が違うというのはそのとおりだと思います。

>なんだかんだCLAYMOREは少年漫画で、『強敵をバトルで倒す』というストーリーラインの肉付けなんですよね、設定が全て。

CLAYMOREは、いかに傷めつけられても力に呑まれて自分を失いそうになっても、最終的に強大な敵や巨大な悪のシステムと戦い打倒しようとする点ではまさに少年漫画かと。対してまどかはインキュベーター自体を倒そうとはしませんでしたし、システムを部分的に変えていくことを選んだので、その点でも対照的ですね。(叛逆だとほむらがインキュベーターを支配下において掌握しますが、滅ぼしはしない)

バトルに比重を置くなら、両者は似て非なるものだと思います。

投稿: ネ右 | 2014/11/03 22:22

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 昨日、 八木教広氏 のマンガ” クレイモア ”を読み返してみて、なにか先日最終回を迎えたアニメ” 魔法少女まどか★まぎか ”にどこか似ている。と思ったので両作品の類似点を上げていきたい。 まどか★マギカ :思春期の少女が謎の生物キュウベェと”契約”して魔女と戦う。 クレイモア :身寄りのない幼い少女が、”組織”に拾われて、身体を作りかえられ半人半妖の戦士となり、妖魔と戦う。  まどか★マギカの場合は一応選..... [続きを読む]

受信: 2011/06/13 20:48

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